アメリカの南北戦争以降、3方が海に囲まれているマンハッタン島では水不足が深刻になり、汚染水による病気の発生、不潔な生活環境による伝染病の大流行、そして1835年の大火によって水源の確保が必須となりました。そこで注目されたのがウェストチェスターの北を流れるクロトン川でした。
1838年に大工事が始まりましたが、クロトン川をせき止め、トンネルを掘りパイプを通し、こうしてクロトン貯水湖ができ、そこからセントラルパークのグレートローンまでの41マイルに渡る 水道ができました。3、4千人ものアイリッシュの移民によって、わずか5年でマンハッタンまで 水道が通ったのです。そして1968年、ニューヨーク州がこの水道の上を通る道を、ブロンクスからクロトンまで26.2マイルにわたって買い上げたのが現在の Old Croton aqueduct State Histric Parkです。これは、美しい自然の眺めや、数々の歴史的建造物、郊外の家々の佇まいなど様々な景色を、どの部分を歩いても楽しめるトレイルになっています。
Ossining のMain Streetを外れたビルディングの裏側に林の中に向かうトレイルの入り口があります。町の 開発で、所々住宅街や町並みに途切れながらも続くのが面白いのですが、同時に、どこから始まっているかは 知らないとなかなか見つからないのも確かです。
Ossining からですと、まず”Sin Sin Kill”というせせらぎの上を通る橋を渡ります。この橋からOssining の街を振り返ると、まるでヨーロッパのどこかにいるような気がします。
このトレイルは、何本もの車道を横切りながら続きます。大きな木の木陰、美しい野草に囲まれた道を歩いていたかと思うと、急に現実に戻るように車道に出ます。でも静かな住宅街の中の道なので、却ってその夢から覚めたりまた戻ったり、というような面白い感覚で歩けます。しばらく行くと大きく開けた明るいエリアにでます。そこは最近 開発されたアパートメントの敷地ですが、トレイルはそのまま保存されているので、 気持ちのいい芝の道を歩けます。アパートメントの入り口から入るのではないので、「あら?ここはどこ?」といった、楽しい不思議な気持ちにしてくれます。そのあと林の中を抜け、ルート9を交差してCroton on Hudsonに入ります。そこからは深い林の中をクロトン川を見下ろすような感じでダムに向かっていきます。
このトレイルは歩く人により、それぞれの発見ができるルートだと思います。また ランニング、サイクリングも可能ですので、個人の好みでトライなさってみてはいかがでしょうか。
http://nysparks.com/parks/96/details.aspx
今週の「米語Watch」です。